”今日は会えない”


エアリスは携帯を閉じると小さく溜息をついて呟いた。

「たまには仕事より、私を優先してくれればいいのに…。クラウドの、バカ。」

エアリスの恋人であるクラウドは、いつも仕事。そのためお互いロクに会えないままでいた。そのことにエアリスは不満を抱えていた。

そんなある日、いつもとは違う内容のメールが1通―――。



『俺たち、別れよう…。俺じゃ、エアリスを幸せにできない…。』



エアリスはただ、じっとその文面を見てたたずんでいた。どうしたらいいのだろう…そう思考をめぐらせる合間に、体は彼の元に向かって走っていた。


「クラウド!」

「エ、エアリス…」

クラウドは驚いてエアリスを見つめた。エアリスは息を整えながら口を開いた。

「クラウド、さっきの、どういうこと?」

「…そのままだよ。俺だっていつまでも一緒にいたい。でも俺じゃ、エアリスを悲しませる事しかできない。だから、エアリスのこれからのことを考えたら…」

クラウドは俯いたまま口ごもった。その時、クラウドの頬にエアリスの手がとんだ。クラウドは唖然としてエアリスを見つめた。

「な…」

「私の気持ち、考えないで勝手なこと、言わないで!私、そんなこと気にしてない!それに、これからのことなんて、そのときに考えれば、いいんだよ…。今、私は、クラウド…貴方と一緒にいたいの…。」

エアリスは耐え切れず、涙をポロポロ流しながら肩を震わせた。そんなエアリスを見て、クラウドはそっと抱きしめた。

「ごめん、俺、自分のことしか考えてなかった…。俺は逃げたかったんだ…エアリスを悲しませて、周りから非難を浴びるのが怖いから…。」

「クラウド……」

「でも、エアリスに言われて決心がついた。俺は、今の俺にできることで、エアリスを幸せにする。






今を大事に生きよう…。」

No.217 若菜さま







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